「亜美のほうは大変なことはない?」
「全然ないよ。……あ、でも雪斗との付き合いが慣れなくてまだ緊張するかな」
さっきスマホを確認したら雪斗から【会いたい】とメッセージが来ていた。
「雪斗とも上手くいってるんだ」
「まあね」
家族関係はいいとしても、さすがに彼氏まで交換されたらいい気分はしない。
でも、それも含めて人生を交換してもいいと言い出したのは未来なんだから仕方ない。
「もうそろそろ店出ないとヤバいんじゃない? 保育園の迎えがあるでしょ?」
私は雪斗にメッセージを返しながら言った。
「色々大変だと思うけど、今さら元に戻してはナシだからね。だってもう未来が高橋亜美なんだからさ」
私はごねられる前に、さっさと着替えを終わらせて帰った。
「あんな言い方してよかったの?」
まつりが私の歩くスピードに合わせて憑いてきた。
「いいよ。別に」
未来はいつも私に優しくしてくれたし、恨みもない。
でも今まで幸せだったぶん、これからは私が幸せになったっていいでしょ。
「亜美は自分の人生を未来にあげて後悔はしないの?」
「するわけない」
「言いきれる?」
「当たり前じゃん」
天地が引っくり返ったって、私は高橋亜美に未練はない。



