幽霊高校生のまつりちゃん



「今までちゃんと働いたことがなかったけど、朝からシフトが入ってるってこんなに大変なんだね」

未来になった自分のことは見慣れてきたけれど、目の前に私の姿があるとやっぱり変な感じがする。

「仕事が長く感じるでしょ」

「うん」

お小遣い感覚のバイトから、いきなり八時間労働じゃかなりきついと思う。しかもキッチンは尋常ではないほど暑いから体力との戦いでもある。


「定時制の学校は行ってる?」

「うん。でもやっぱり亜美みたいに、今はバイト優先って感じかな。そっちの学校はどう?」

「楽しいよ。優香たちとも仲良くやってる」

「そっか」

着替え終わった未来がパタンとロッカーを閉めた。


未来が着ていたのはTシャツにデニムというラフな格好だった。私が持っている数少ない私服のひとつだ。

なんか自分の姿だけど、かなりダサく見える。

……私って他の人から見るとこんな感じだったんだな。


「ねえ、家のことはどう?」

私はずっと気がかりだったことを聞いてみた。


「由美も悟史もいい子だよ。料理が急に不味くなったって悟史もお手伝いしてくれるようになったし、由美も自分でお片付けしてくれる」

当たり前だけど、未来はふたりのことを呼び捨てにしていた。


……悟史がお手伝い? 由美がお片付け?

私がいた時はそんなことひとつもしなかったのに。


「私が頼りないから協力してくれてるんだと思う。お母さんの具合のほうは日によって違うけど、私の家事が下手くそなせいか「寝てられない」って、今日は朝から起きてたよ」

「ふーん」

私は素っ気ない返事をした。なんか気に食わない。