「えっと……あ、歯ブラシとか化粧落としとかなにも用意してきてないから」
「ああ、そっか」
とっさに思い付いたわりには上手く断ることができてホッとした。
男の子の家に泊まるなんて……考えただけでドキドキする。
でも未来にとってはこれが当たり前のことなんだ。未来になってみて、いかに自分が青春をしていなかったかがよく分かる。
もしもまつりに願いを叶えてもらわなかったら……私は楽しいことをなにも知らないまま17歳を終えるところだった。
そんな中で、ポケットに入れていたスマホが鳴った。
通知は優香たちとやっているメッセージグループからだった。
【今日、彼氏にドタキャンされた。絶対に浮気されてるよ……】
泣き顔のスタンプと共に送ってきたのは、イケメンの彼氏がいることで有名な英里ちゃんからだった。
【浮気とかマジで許せない】
【でも彼氏もだけど、女のほうもダメだよね】
【うん。彼女持ちだと知ってて手を出してると思う】
次々と英里ちゃんを擁護するメッセージが届く。私もなにか返さなくちゃと、文字を打とうとした時……。
「未来」
「ひゃっ……」
背後から雪斗に抱きしめられた。



