「うーん。やっぱりうまくいかない」
優香に言われたとおり、どうしても濃くなってしまう。
「わざわざ練習しなくたって、私に願えば一瞬でできるのに」と、まつりは自分の指にマニキュアを塗って遊んでいた。
「でもせっかくだから自分でやってみたいの」
っていうか、私が覚えたい。
普通はメイク道具なんて各一つずつあれば足りるのに、未来は本当にたくさん持っている。
きっと洋服やその日の気分によって使い分けていたんだろう。
そりゃ、オシャレで可愛いはずだ。
「亜美。電話鳴ってるよ」
「え?」
まつりに言われて、スマホを確認すると画面には【着信 寺島寺島雪斗】と表示されていた。
……男の子の名前だ。
誰だろう。友達かな?
「未来の彼氏だね」
「ええっ?」
思わず大きな声が出てしまった。
色々なことに満足しすぎて、すっかり忘れていたけれど、そういえば未来には彼氏がいたんだ。
とりあえず電話に出てみると、スピーカーから低い声が届いた。



