幽霊高校生のまつりちゃん



それから友達と別れて、私は広くて大きな家に帰った。

可愛いものに溢れた自分の部屋に入り、ふかふかのベッドにダイブすると、本当にお姫さまになったような気分になる。


「どう未来の生活は?」

まつりはテディベアのぬいぐるみが気に入ったようで、ピンク色のクシで毛並みを撫でていた。


「楽しいよ。こんなの初めてだよ」

いつも時間に追われていたから、こうしてゴロゴロする暇もなかった。


狭くてカビ臭い団地はなにもかもが錆び付いていて、ドアの鍵穴さえすんなりと回せない。

玄関には脱ぎっぱなしの靴が散乱していて、収納場所さえもなく。家に帰ればすぐにご飯を作って、洗濯物を畳んで、髪の毛も整えないまま夜の学校に向かう。

そんな昨日までの生活が嘘みたいだ。


「普通は他人の家って落ち着かないものだけど、これからは未来として暮らしていけそう?」

いつの間にかまつりはロフトに上がっていて、手すりからひょっこりと顔を出していた。


「うん。いけそうっていうか、暮らしたい」

こんな満たされた生活をしてしまった以上、もうあの狭い家には戻りたくない。


私は本当の未来に近づくためにメイクの練習をはじめることにした。

一応人並みに安いスキンケアぐらいはやってきたけれど、化粧品はどれも高いのでドラッグストアの試供品しか持っていなかった。

なので、化粧に関しての知識はゼロ。マスカラもアイシャドウもたくさんありすぎて、どれを使ったらいいのか分からない。

とりあえず未来の部屋にある雑誌を広げながら、見よう見真似でメイクをしてみた。