それから移動ワゴン車のクレープを買って、食べながらみんなで外を歩いた。
どうしよう。楽しい。楽しすぎる……!
「亜美。顔がにやけてるよ」
まつりはそんな私の周りをくるくると回っていた。
これからは毎日この生活が私のもの。
最初は半信半疑だったけれど、四番目の交差点に行って本当によかった。
「……痛っ」
そんなことを思っていると、隣を歩いていた優香が足を止めた。
どうやら目にゴミが入ってしまったようだ。
私はハッとなにかを思い付いたようにカバンの中を開けた。
「これ使う?」
それはバイト先で未来が使っていた女優鏡。
「あれ、この鏡って……」
「あ、うん。ライトが付いてるんだよ。ほら!」
持ち手の部分にあるボタンを押すと、鏡の周りのLEDライトが光った。
未来のカバンには鏡の他にも様々なものが入っている。
メイク道具に、アクセサリーのポーチ。飴やガムのお菓子に、髪の毛を結う可愛いゴムやシュシュ。
私はお財布とスマホだけあればいいっていうタイプだったから、未来のカバンは正直すごく重い。
でも今はその重みすら嬉しい。
「これってかなり高いやつだよね。なんで未来ってこんなに色んなもの持ってんの?」
「うーん、パパが銀行員だからかなー」
「いいな。羨ましい」
そんな言葉に、私は得意気な顔をした。
今までは日々の生活を送るだけで精いっぱいで、自分がほしいものなんて買える余裕はなかった。
でもこれからは違う。
好きな時に好きなだけ買い物ができる。
頭でお金の計算をしなくていいし、未来が持っているものは使い放題、試し放題。
もう、自分が欲しいと思うものやオシャレも我慢する必要はない。
人を羨むばかりの人生だったけれど、人から羨ましがられるって、こんなに気持ちがいいことだったんだ。



