幽霊高校生のまつりちゃん



部屋を出ると、目の前には木製の手すりがついている階段があった。

一歩一歩噛み締めるようにして降りて、長い廊下を進んだ先にドアがある。

オシャレなドアノブを静かに開けると、そこには解放感のあるリビングが広がっていた。


「おはよう、未来」

ダイニングテーブルの椅子に座っている男性に挨拶をされた。

おそらく未来のお父さんだろう。

シワひとつないスーツを着て、左手に高そうな腕時計をしていた。

テーブルにはお母さんが用意してくれた朝ごはんが並んでいる。

モチモチの生食パンに、とろとろのスクランブルエッグ。あらびきソーセージに、野菜のスムージー。

……すごい。こんな豪華な朝ごはんを未来は毎日食べてたんだ。


まつりがなにやら背後ではしゃいでいて視線を向けると、そこに広々としたL字型のソファがあった。

テレビは見たことがないほど大きいサイズで、スピーカーも設置してあったので、みんなで映画鑑賞をすることがあるのかもしれない。

リビングの窓の向こうには裸足のままでも出られる屋根付きのテラスもあって、庭に咲く花のいい香りが漂ってくる。


すごい、すごい、すごい……!

埃っぽくて狭い我が家とは全然違う。


「ほら、未来の好きなフルーツもあるよ」

「未来ちゃん、おかわりもあるからたくさん食べてね」


英字新聞を読むカッコいいお父さんに、美人で優しいお母さん。

これが未来の生活。

いや、これがこれからの私の生活。


「あ、ありがとう。パパ、ママ」

未来がいつも呼んでいるように呼ぶと、ふたりはやっぱり優しく笑った。