そのあとまつりは簡単に「分かった」と言った。
とりあえず今日は自宅に帰ることになり、いつもどおりご飯を作って妹たちを寝かしつけた。
本当に未来と入れ替わることができるんだろうかと半信半疑のまま布団に入って――翌日。
目を覚ますと私はふかふわのベッドの上にいた。
爽やかなアロマの香りに包まれて、白いカーテンがゆらゆらと揺れている。
シミだらけのうちの天井とは違って、ロフト付きの高い天井が瞳に映った。
……え、ここどこ?
周りを見渡すようにベッドから起き上がった。すると、部屋のドアがノックされて、そこからエプロンをした女性が顔を出す。
「おはよう。朝ごはんできたよ。遅刻しちゃうから早く下に降りて顔を洗ってね」
そう言って優しく笑う女性はとても綺麗な人だった。
「えっと……」
まだ状況が理解できずにぼんやりとしている私を見て、女性が不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの? 未来ちゃん」
……み、未来ちゃん?
ってことはこの人は未来のお母さん?
「未来ちゃんの好きなスムージーを作って待ってるね」とドアが閉まったあと、私は慌ててドレッサーの前に立った。
鏡に映っていたのは、未来の顔だった。
「嘘……」
確かめるようにして、ペタペタと全身を触った。
きちんと手入れされている爪に、柑橘系の香りがする肌。
着心地がいいピンクのルームウェアを着て、華奢な体は正真正銘の未来の体だった。
「よかったね。今日から亜美は高橋未来になったんだよ」
気づくと、まつりはベッドに座って、テディベアのぬいぐるみを抱いていた。
「……本当に願いが叶ったの?」
「当たり前じゃん。私はもう亜美のものだもん。亜美が望むことなら全部叶えてあげるよ」
まつりの言葉に、私はもう一度鏡を見た。
今日から私は高橋未来。
本当に、本当に、私の願いどおりになったんだ。



