もしかしたら、逢魔が時を過ぎてしまっていたのかもしれない。
……失敗、か。
でも私は終われない。
明日は早めにここに来て、同じ方法で試してみよう。
それでもダメだったら、呼び出せる方法をもっと深く探す。
私はなんとしても彼女に会わなければいけない。
会わないと……私の人生は変わらない。
「危ない。ギリギリだったよ」
「え……」
ハッと顔を上げると、暗がりになっている横断歩道の向こう側に女の子が立っていた。
赤になっている信号機を無視してこちらに渡ってくる。
ぴょんぴょんと跳ねるようにして歩き、そのたびにセーラー服のスカートがひらりとひるがえしてしった。
「記録更新おめでとう。過去に一分前に来た人はいたけど、30秒前に来たのはあなたが初めてだよ」
初対面だというのに、妙に距離感が近かった。
「えっと……萩野まつりさんですか?」
間違えるわけにはいかないので確認のために聞いた。
「うん。そうそう。あなたはだーれ?」
「高橋亜美です」
「亜美。呼びやすい名前だね」
「ど、どうも」
あれ、私って今四番目の交差点の幽霊と話してるんだよね?
呼び出すことに間に合ったのはいいけれど、まさか第一声で『おめでとう』なんて言われるとは思ってなかったから今はすごく驚いている。



