幽霊高校生のまつりちゃん



私は未来と別れたあと、由美と悟史を家に置いてひとりで出掛けた。

向かったのは、萩野まつりに会えるという四番目の交差点だった。

彼女の噂は一年ほど前から人づてに聞いていた。

年齢や正体は不明とされているけれど、とある高校のセーラー服を着ていて、四番目の交差点で死んでしまった幽霊だそうだ。

噂を聞いた時はただの作り話だと思っていたし、霊感はひとつもないので霊の存在自体信じてはいない。

けれど、萩野まつりはただの幽霊ではない。

もしも呼び出すことができれば、なんでも願いを叶えてくれるそうだ。

それが本当なら、幽霊じゃなくて私にとっては魔法使いだ。


四番目の交差点に着く頃には、西の空が暗くなりはじめていた。

たしか逢魔が時と呼ばれる時間じゃないと呼び出せないと聞いたことがある。

まだ雲はオレンジがかっているから大丈夫かな。分かんないけど、やるしかない。


私は四番目の交差点の前に立った。

彼女を呼び出す方法はちゃんと頭に入っていた。まさかそれを実行する日がくるとは思っていなかったけど。

摩訶不思議なことをしようとしている怖さよりも、今は自分の中に芽生えた願望のほうが勝っている。

驚くほど落ちついていた私は、横断歩道の信号機をじっと見つめた。


……早く、早く。

焦る気持ちとは裏腹に、ゆっくりと信号機が点滅しはじめた。

そして私は青から赤に変わる四回目の点滅を待ったあと、「きみに会いたい」と心の中で強く呼び掛けた。


ドクン、ドクン、ドクン。


視線をぐるりと一周させてみたけれど、とくに変わった様子はない。

唯一変化してることがあれば、完全に日が落ちてしまったくらいだ。