「こんにちは。お名前教えて」
未来が妹たちに声をかけた。
「由美」
「悟史です」
「由美ちゃんに悟史くんね。私も一緒に遊んでいい?」
未来はワンピースも気にしないで、砂に触りはじめた。
「み、未来、汚れちゃうよ?」
「はは。いいよ、別に」
明るい未来の笑顔に、由美たちはすぐに心を許した。
未来は由美と砂のお城を作ったり、悟史のサッカーボールのパスの相手をしてくれた。
久しぶりに全力で遊んでもらって、由美も悟史も本当に楽しそうだった。
「未来、ありがとう」
夕暮れになると、公園にいた人たちも少なくなった。
私ひとりだったらきっと由美たちも飽きてしまって夕方まで遊ぶことはできなかったと思う。
「ううん。私もすごく楽しかった!」
未来のことをすっかり気に入ってしまったふたりは、勝手に「また遊ぼうね」と約束までしていた。
……ふたりがこんなに笑ってるの、久しぶりに見たかも。
だって私は妹たちと遊ぶことは正直、面倒だと思っている。
本当は休日に家でのんびりしたいし、なににも縛られずに解放されたい気持ちのほうが強い。
「私、一人っ子だから姉弟がいて羨ましいよ」
銀色の金具がついている可愛いリュックを背負いながら未来が言った。
「私は一人っ子のほうがよかったよ」
「なんで?」
「家に帰ればお姉ちゃんだからって家事もしなきゃいけないし。お母さんは病気だから学校も自由に選べなくて、バイトもほぼ毎日入ってる。本当に、本当に良いことなんてないよ……」
溜まっていた気持ちを吐き出すように、つい本音を言ってしまった。



