幽霊高校生のまつりちゃん



「絶対に公園に行きたい、行きたい、行きたい!」

由美のワガママがはじまった。


悟史はだいぶお兄さんになってきたから、言って聞かせれば困ることは言わなくなった。

でも、四歳の由美はちょうどイヤイヤ期なので、なおさら最近は手を焼く。


「スーパーに行ったらお菓子ひとつ買ってあげるから」

「やだ!」

「ベランダでシャボン玉でもしよう?」

「じゃあ、シャボン玉してから公園に行く!」

それじゃあ、意味ないじゃんと言い返す気力もない。


たぶん、家にいてもオモチャがあるわけじゃないから暇なんだろうな。

悟史もサッカーボールを友達にもらったけれど、広いところに連れていってないから、思いきり蹴ることもできない。


「ねえ、お母さん。たまにはふたりを公園に連れていけない?」

ワガママを言う妹と、ワガママを言うことを我慢してる弟と、ため息ばかりが増える姉。

そんな私たちの会話を聞いているっていうのに、お母さんは黙々とチャーハンを食べてるだけ。


「無理よ。人がいるもの」

「でもいいきっかけになるかもしれないよ。ママ友とかいたらお喋りもできるし、外に出掛ける用事も増えるかも。由美と悟史も言わないだけでお母さんと公園に行きたいって思ってるし、長い時間じゃなくても少しずつ……」

「今度行くわ」

「…………」


今度、今度って何回目の今度?

お母さんが外に出られない病気だとしても、抜け出す方法はきっとある。

人に会いたくないなら、人がいない時間に出掛けるとか、近所の周りを一周するだけの散歩でもいい。

少しでもお母さんが病気を治そうとしてくれたら、私だって頑張ろうと思える。

でもお母さんは変わることを諦めている。


それなら、ずっとこのままなの?

お母さんは家に引きもって、私は外に出て働いて。

悟史や由美の世話をして、自分の時間は一秒もない。


私だってやりたいことがあるのに。

まだ17歳なのに、なんでこんなに我慢しなきゃいけないの?

そんな不満もお母さんには言えば病気を悪化させるだけなので、私は渋々妹たちを公園へと連れていった。