幽霊高校生のまつりちゃん



内釜にはお米を炊く時に出る白い膜がねんどよりも頑固にこびりついている。

再び深いため息をついたところで、居間からお母さんが気だるそうに起きてきた。

服装は夕方だというのにパジャマのままだった。


「寝てたの?」

「うん。ずっと頭が痛くて」

「お米ぐらい炊いといてくれたらよかったのに」

「ムリよ。1日中布団から起き上がれないくらい辛かったんだから」

そう言って、お母さんはコップ一杯の水を飲んだ。


台所の棚に置かれた薬は減っていない。

病院で処方されている薬は大きくて飲みづらいと、あれこれ理由をつけては毎日ただ横になっているだけ。


うちの家族構成は妹の由美(ゆみ)と七歳で小学二年生の悟史(さとし)とお母さんの四人暮らし。

父親は由美が生まれてすぐに蒸発してしまった。

そんな身勝手な父親に代わってお母さんがムリな生活をしたことで、体調不良になり鬱病と診断された。

現在は生活保護と私のバイト代でなんとか生活をしてる状態。

お母さんは病気のせいでなにもできないので、保育園の送り迎えはもちろんのこと、お腹を空かせた弟たちにご飯を作ってあげるのも私の役目。

毎日、掃除洗濯家事育児に追われてバイトに向かい、晩ごはんの支度をしてから、夜間の学校へと通う。

一息つく暇もない毎日に、体も心も限界な日はある。

けれど、この生活から逃れることなんてできない。