幽霊高校生のまつりちゃん



カフェを出た私は時間を気にしながら、少し早歩きをしていた。

風で髪の毛がなびいても未来みたいに、いい匂いなんてしない。

頻繁に美容院に行かなくてもいいようにと髪はばっさりと短くしてしまったし、洋服だって同じものを着回している。

メイクもオシャレも興味がないわけではないけれど、今の私には必要のないものだ。


「あ、お姉ちゃん!」

パンダのイラストが描かれた保育園を訪れると、四歳の妹が元気に駆け寄ってきた。


「今日ねんど遊びしたんだ!」

「そうなの?わっ、園服にねんど付いてる!」


爪で擦ってみても乾いてしまっていて取れない。

また今日も手洗いしないとダメか……とため息をつきながら、妹と手を繋いだ。


閑静(かんせい)な住宅街を通りすぎて見えてきたのは、同じ建物が五棟並んでいる公営住宅の団地。

誰でも入居できるわけではなく、収入が低くて住居に困っている人を対象とした住宅だ。


「ただいま」

ガチャリとドアを開けると、すぐに弟が飛んできた。


「お姉ちゃん、お腹すいた!」

今朝掃除機をかけてから出掛けたというのに、また家の中が散らかっている。


「待って。今作るから」

「炊飯器の中が空っぽだよ」

「えー」

確認するとお釜は昨日のままになっていて、洗うのも忘れてしまっていた。