「あれ、今日シフト入ってたっけ?」

「ううん。駅前に新しくできたカフェに今から行こうと思って、この道を通ってただけ。時間あるなら一緒に寄っていこうよ」

「うーん」

チラッとスマホの時計を確認すると、まだ少しだけ余裕があったので未来と一緒にカフェに行ってみることにした。


「うわ、なにこれ。美味しい……!」

私は未来と同じタピオカミルクティーを注文した。

オシャレな店内はアジアンテイストになっていて、次々と学校帰りの女子高生たちが入ってくる。


「うちのバイト先にもタピオカミルクティーあるじゃん」

「あるけど、わざわざ飲まないよ。従業員割引使って食べたり飲んだりしてる人もいるけど、たかが30パーセントしか安くならないし」

だから私はいつも家からおにぎりを持参している。せっかく働いたお金を自分の食費には使いたくない。


「亜美って本当にしっかりしてて偉いよね」

未来はそう言って、いい匂いがする髪の毛を右耳にかけた。


未来は私と同じ17歳の高校二年生。

キッチンで料理を提供してる私とは違って、未来はホールで接客をしている。

元々社交的な性格でもないのでバイトでは黙々と仕事だけをしてきたけれど、そんな私に未来から声をかけてきてくれた。


同い年で、しかも高橋という名字が一緒。

そんな縁もあって、今では時間が合えばこうしてお喋りすることも珍しくない関係になった。