ずっとカッコいいと思っていた。

凛として、誰にも媚びない。

そんな泉谷さんに憧れていた。


「私、泉谷さんと友達になりたい。私は泉谷さんにとって、友達になりたいと思う人になれますか?」

SNSに自分の気持ちを打つのではなく、ちゃんと口に出して言う。

そんなことさえ、今までできていなかった。


「もうなってるよ」

泉谷さんが優しく笑ってくれた。


それを見て、今度はしょっぱい涙じゃなくて、嬉しい涙が溢れた。

今日から、いや、この瞬間から。

偽ることのない本当の自分でいよう。

取りつくろった笑顔も関係も、もういらない。


「友達記念だね」

泉谷さんが手を差し出してきた。それに応えるようにして私は両手で彼女の手を握った。


スマホを打つだけの毎日だったら、人との握手がこんなに暖かくて優しいってことも、私は知らないままだった――。