肩を並べるように隣にいくと、泉谷さんは手すりをぎゅっと握った。
「私、スマホ盗まれたんだ」
風に乗って届いてきた真実。
「たぶん日比野さんの鍵アカを見るためにあいつらがやったんだと思う」
「ごめんなさい、私……」
「ううん。私もさっきはムカついたから。疑われたことじゃなくて、そんなにあの人たちのことが大切かなって」
たしかに私は明日からひとりになってしまうことが怖かった。
だから、なんで見せたのって泉谷さんを責めた。
でもそれって見られなかったら、ずっと璃子たちと友達でいられたのにって言ってるのと同じだ。
鍵アカで私だってみんなのこと悪く言ってたのに、まだ繋がっていたいなんて……泉谷さんがムカつくのは当然のこと。
「私、大切じゃないよ。あの三人のことなんて、全然大切じゃない」
やっとわかった。本当の気持ち。
明日からの風当たりは冷たいかもしれない。
今まで以上にあの三人から陰で悪口を言われたり、書かれたりするかもしれない。
でも、不思議と今は心がスッキリしている。だって私は……。
「私が大切にしたいのは、泉谷さんだから!」
届くように、精いっぱいの声を出した。