「大体さ、鍵アカの存在がバレたからなんだって言うの?」
泉谷さんは悪びれる様子もなく、開き直ってきた。
「裏で相手のこと散々言ってるくせに、表では友達関係を続けたいなんて、そんなの私には理解できない」
怒っていたのは私のほうなのに、泉谷さんの口調のほうが強くなっていく。
「まさか……みんなに見せるために、私に鍵アカを勧めてきたわけじゃないよね?」
「………」
泉谷さんは否定も肯定もしなかった。
考えてみれば、なんの接点もなかった泉谷さんがいきなり親しくしてきた時点で疑うべきだった。
「ねえ、最初から仕組んだことだったんでしょ?」
「だったらどうするの?」
「……っ、最低、最悪」
私はそう吐き捨てて、その場を去った。
悔しくて悲しくて、階段下の物陰にうずくまってしゃがみこむ。
「私、バカだ。バカすぎる……っ」
涙が止まらない。
泉谷さんに惑わされないで、今までどおりの笑顔でみんなに合わせるだけの自分でいればよかった。
そしたら、私の世界は崩れなかったのに。



