幽霊高校生のまつりちゃん



「写真とかを晒されるのって、今はデジタルタトゥーって呼ぶんだってね」

誰もいなくなった教室で、まつりは教壇の上で足を組んでいた。

一度SNSに公開されてしまうとキレイに削除することはできないと言われている。


「まあ、鍵アカの中だけで小さく楽しんでるぶんにはまだ可愛いほうかもね。私だったらもっとすごい写真を上げて泣かせちゃうかもしれないなー」

本気なのか冗談なのか、わかりづらい。

私はまつりの話を流しつつ、ちらっと泉谷さんの席を見た。すでにカバンはなくて、どうやら帰ってしまったようだ。


「泉谷さんと話したいな。知りたいな。放課後なにしてるのかなー」

「ちょっと、人の心を読まないでよ」

「えー人の心なんて読めないよ? あ、人の心が読めますようにって、私に願ってよ。絶対にみんな真っ黒だよ。面白いよ、きっと」


まつりは本当に無邪気というか能天気だ。

なんにも考えていないように見えるけれど、私を油断させるためにわざと演じているんじゃないかと感じることもある。


「人の心なんて読めたら余計に自分が疲れるだけじゃん」

「えー若菜って、本当につまんない」

まつりがわざとふて腐れたような顔をした。


まつりいわく、願いをひとつしか言わない人は滅多にいないらしい。

みんなあれこれと、怖い願いを言ったりもするそうだ。


「まつりちゃんは……なんで四番目の交差点の幽霊になったの?」

「幽霊になる理由なんてひとつだよ」

「死んだってこと……?」

「そうだよ」

「なんで……」

尋ねた瞬間にガラッと教室のドアが開いた。

タイミング良く先生が「部活動以外の生徒は早く帰りなさい」と注意してきたので、それ以上は聞けなかった。