右目の横には印象的な泣きぼくろがひとつあって、見た目はどこにでもいるような女子高生と変わらない。
……本当に彼女が噂の人なんだろうか。
しっかりと意志疎通ができるし、足もあるし、体が透けているわけでもない。
私にはどう見ても生きてる人にしか見えなかった。
「あなたが幽霊高校生なの?」
少し冷静さが戻ってきたので、しゃがみこんでいた腰を静かに上げた。
「どうかな。それは人が勝手に言ってることだから」
「願いを叶えてくれるっていうのは本当のこと?」
そう訪ねると、まつりは不敵に微笑んだ。
「うん。それは本当のこと。でもね、願いをなんでも叶えてあげる代わりに――あなたは大切なものをひとつ失う。それでもいいの?」
まつりの真っ黒な瞳に、自分の顔が映っていた。
まるで心の奥まで探られているような、見透かされているような、怖さを感じた。
「……失うって命とか?」
「さあね」
「それはまつりちゃんが決めるの? それとも……」
「怖じ気づいたならやめていいよ」
臆病な私を突き放すようにして、まつりは毛先をくるくると指で巻きながら遊びはじめた。



