「ねえ、彩芽。私たち友達でしょ? 仲良くしてくれてたじゃない」
「友達? 仲良く? 私はこの日のタイミングを見計らってただけだよ」
「そんな……」
きっと私と同じように、心の中で計画を立てていたのだろう。
それが強い目をした彩芽からひしひしと感じられた。
「美幸にはわかんないだろうけどさ、私、本当に宮本のことが好きだったんだよ」
彩芽は視線を落として悲しそうな表情を浮かべた。
「だから別れたくなかったし、ずっと一緒にいたかった。それをあんたは自分の欲望だけで簡単に奪った」
そう言って彩芽は涙を流した。
そして、視線を私ではなく、なにもない場所へと向ける。
そこにまつりがいるのだと、直感でわかった。
「私の名前は豊田彩芽。叶えてほしい願いはひとつ」
「ま、待ってよ。彩芽……」
「私は伊東美幸に復讐したい」
その瞬間、生暖かい風が私の横を通りすぎていく。
頭の中で、まつりが言っていたあの時の言葉を思い出していた。
『因果はめぐる糸車の意味はね、行為の善悪に応じて、その報いが必ずあるってことだよ』
血の気が引いて、身体中が寒い。
「また地獄に落ちなよ、美幸」
明日から、いや、この瞬間からなにが待っているのか。
私は力が抜けたように、交差点にしゃがみこんだ――。



