「いろいろとおかしいと思ってた。私たちは知らず知らずに美幸にもてあそばれていたんだね」
「ち、違う……」
「なにが違うの? 宮本のことをケガさせて、私たちのことを引き裂いたでしょ?」
ま、まずい。
ぜんぶ彩芽にバレてしまうなんて想定外だ。
「だから違うよ。たしかにまつりに願ったことはあったけど、宮本のケガだってちょっと足首を捻るくらいでよかったの。彩芽たちのことも少し仲違いするくらいで……」
必死に言い訳をしても彩芽の冷たい視線は変わらない。
「まつりはいつもやりすぎるんだよ! 私のせいだけじゃないって」
すると、彩芽がクスリと笑う。
「まつりは願ったことを忠実にしただけだって言ってるよ?」
「……っ」
どうしよう。どうしたらいい?
こんなことならまつりと別れなければよかった。
そしたら梨花と同じように彩芽のことも消して、なにもかもなかったことにできるのに。
でも、私はもうまつりに願えない。
その姿さえ、見えることはない。
「と、とりあえず場所だけ変えない? 少し落ちついて話し合おうよ」
まつりを呼び出しただけじゃ、まだ願い人として成立はしていないはずだ。
まつりは交差点からは離れられないから、彩芽とふたりきりになることができれば、あれこれと都合よく吹き込める。
幽霊じゃなくて悪霊ってことにして、まつりに操られていたことにしてしまおう。
それで、まつりがいかに怖い存在なのかを植え付ける。
まつりを彩芽に憑かせるわけにはいかない。
まつりの力がどれほどのものなのかは、私が一番よく知っているから。



