空は次第に怪しげな色を見せはじめて、まつりに会える逢魔が時になっていた。
彩芽はじっと交差点の信号機に目を向ける。青から赤へと点滅を繰り返して、四回目。
〝きみに会いたい〟
言葉には出さなくても、彩芽の心の声が聞こえた気がした。
「はは、やっぱり本当だったんだ!」
彩芽が誰かと話はじめる。
自分の肌でもわかるくらい空気がひんやりとしていて、確実に〝いる〟と思った。
「あ、彩芽……。まさかまつりを……」
「うん。そうだよ。美幸もまつりを使って梨花のことを追い詰めていたんでしょ?」
ドキッと心臓が大きく跳ねた。
「たまに独り言を言ってることには気づいてた。でも確信はなかった。この現場を見るまでは」
そう言って彩芽は私に向けてスマホの画面を見せてきた。
そこには隠し撮りをしている動画が記録されていて、それは私が梨花のことを屋上から突き落としている場面だった。
「……っ」
驚きすぎて足が後退りする。
もしかしてあの時、黒いものが動いた気がしたのは彩芽だった?
動画には私が梨花のことを突き飛ばしている場面が映っているだけじゃない。
〝宮本にケガをさせたのもキス写真が撮れるように仕向けたのも、彩芽と別れさせたのも私だよ〟
〝私が、萩野まつりに願ってやってもらった〟
誰も聞いていないだろうと暴露した私の声までばっちりと動画におさめられていた。



