その日の昼休み。教室にいられない空気を察して、梨花は静かに廊下に出た。
そんな梨花を見逃すはずもなく、私はその後についていった。
梨花が足を止めたのは屋上だった。
空には雲ひとつない青空が広がっている。
清々しい屋上とは不釣り合いな空気をまとった梨花は、ため息をついて景色を眺めていた。
「梨花」
声をかけると、すぐにその肩がビクッとした。
周りの目を気にしすぎて、警戒心が強くなってしまったのかもしれない。
私も梨花にひどいいじめを受けていた時は、どこにいてもビクビクしてた。
なにもかもが怖くて、誰もいない場所に逃げたいと思う気持ちは理解できる。
「屋上って滅多に来ないけど、すごく気持ちいいんだね」
私は他愛ない会話をしながら、梨花の隣に並んだ。
あんなに横暴な振る舞いをしていたっていうのに、今の梨花は亀のように小さい。
それどころかその顔には覇気もなくなっていた。
「美幸。今さら遅いと思うけど、本当にごめん……」
梨花が深々と頭を下げた。



