幽霊高校生のまつりちゃん



「……で、うまく撮れたの?」

まつりが私のスマホを覗きこむ。


「うん。ばっちり」

それは宮本と梨花がキスをしてる写真だった。


ハプニングを起こさせてほしいと願ったけれど、まさかこんなにうまくいくとは思ってなかった。


「これを私ってバレないように彩芽に送れる?」

「そしたら彩芽が傷つくんじゃない?」

「それでもお願い」

「うん。わかった」

彩芽に恨みはない。もちろん宮本にも。

でも梨花を蹴落とすためならもう手段は選ばない。


「梨花。これはどういうことなの?」

女子の更衣室になっている教室。次は体育の授業なのでクラスメイトがジャージに着替えている中で、彩芽は予想どおり激怒していた。

梨花に証拠写真を見せながら、強く問いただしている。

普段クールな彩芽がこんなに感情をむき出しにしている姿は初めてだ。


「えっとこれは……宮本のことを支えようととして……」

「それでキスするの?」

「じ、事故だよ! 宮本にも聞いてみて!」


いつも偉そうにしている梨花が面白いほどに戸惑っていた。

梨花が責められていても他の人たちは気まずそうに見て見ないふりをしている。

だって、彩芽は梨花と同じくらいクラスでは力を持っている。

そんな彼女のことを敵に回したらどうなるのか。梨花も含めて、みんなが知っていることだった。


「宮本に聞いたよ。でもさ、こういうことがあったなら梨花から私に報告すべきじゃないかな」

「……ご、ごめん」

歯切れが悪い梨花に呆れたように、彩芽は教室を出ていく。


その瞬間、完全に梨花への風向きが変わったと確信した。