それから宮本は松葉杖生活になった。
サッカーの大会に出られるかどうかはこれから決めるそうだ。
「……宮本!」
そんな彼に誰よりも優しくしていたのは梨花だった。
自分のせいでケガをしてしまったことをずっと気にしているようだった。
「不便なこととかない? 私、なんでもやるから」
頭は宮本のことでいっぱいのようで、私のことをいじめている余裕もないようだ。
「不便はないよ。手は使えるし」
「でも困ったことがあったらサポートさせて!」
梨花が女の子の顔になっていた。
宮本への罪悪感から片想いしていた時の気持ちが戻ったのかもしれない。
「登下校とか大変じゃない? 私、明日から自転車出そうか?」
献身的に宮本に話しかけている中で、私はまたまつりに合図を出した。
「次は宮本のほうね」
「うん。わかった!」
階段の時と同じように今度は宮本がバランスを崩した
宮本のことを支えようと梨花は手を伸ばす。
ガタッと松葉杖が床に落ちたあと、ふたりの空気が静かになった。
受け止めようとした拍子に、梨花と宮本のそのままキスをしてしまった。
「ごめん……!」
先に離れたのは梨花だった。
「いや、こっちこそごめん……」
宮本が気まずい顔をしている。梨花は首を横に振って、その顔は真っ赤になっていた。
そんなふたりの様子を隠れて見ながら、私は不敵な笑みを浮かべていた。



