「痛……っ」
足首を触りながら顔を歪めていたのは……。
「宮本、大丈夫っ!?」
梨花ではなく、宮本のほうだった。
「だ、大丈夫……っ……」
言葉とは真逆に、宮本の足はみるみる変色していく。
「ごめん、宮本。私のせいで……」
梨花は珍しくうろたえていた。
そのあと宮本は通りかかった先生の肩を借りて保健室に連れていかれた。
「宮本、骨折したんでしょ?」
「大会あるのに大丈夫なの?」
「なんか梨花のことかばって階段から落ちたらしいよ」
学校から病院に向かった宮本の診断は右足首の骨折。宮本とメッセージのやり取りをしている彩芽が落ち込んだ声でつぶやいた。
「……全治三か月だって」
つまり大会への出場は絶望的。それでも「気合いで骨をくっつける」と宮本からは明るいメッセージが届いたそうだ。
みんなが宮本を心配してる中で、梨花はひとりだけ別の表情をしていた。
「ごめん。私が、私が……」
宮本がケガをしたことで自分を責めてるようだった。
「事故だから気にすることないよ。宮本もそう言うと思うし」
彩芽は感情を抑えて梨花のことを気遣っていた。
「ねえねえ、なんで宮本にケガをさせたの? 骨を折るなら梨花でよかったんじゃないのー?」
まつりは私の意図がまだわかっていないようだ。
「これでいいんだよ」
誰にも気づかれないように小声で答えた。
誰も梨花のことを責めないのは想定済み。
土台は完成した。
あとは壊すだけだ。



