幽霊高校生のまつりちゃん



それから昼休みになり、梨花はいつも一緒にいる人たちと机を囲んでお弁当を広げていた。

その輪の中に彩芽もいて、どうやら宮本とは別々の昼食らしい。


「誰かさんがいると、美味しいご飯も不味くなるよね」

梨花はわざと聞こえる声で言いながら、卵焼きを口に運んでいた。


「バイ菌なんだから、汚いトイレで食べればいいのに」

珍しく教室にとどまり続けている私のことが気にくわないようだった。

普段の私なら堪えられずに、別の場所に移動していた。でも今日は違う。

出ていくのは、梨花のほうだ。


「……うっ」

梨花がお弁当を食べ始めてしばらくしたあと、体に異変が起きた。

はしを動かすのを止めて、なにやら口元を抑えている。


「どうしたの?」

彩芽が声をかけた次の瞬間。梨花は食べたものを床に戻した。


「え、ちょっと大丈夫……っ?」

気持ち悪そうに吐き続ける梨花を周りの友達が心配そうに見ていた。けれど、手を貸すというより、どうしたらいいのかわからない様子だった。


梨花を食中毒にしてほしい。

そう私は事前に、まつりに願っていた。


「とりあえず、また保健室に行ったほうがいいよ」

顔面蒼白の梨花を連れて、彩芽が教室を出ていく。


……彩芽、余計なことしないでよ。

もっともっと吐きまくる梨花をクラスメイトに見せつけてやるつもりだったのに。


こうして梨花に優しくしている人がいると、またふつふつと許せない気持ちが湧いてくる。

シロはひとりで死んだ。

理不尽に傷つけられて、冷たい川に流された。

だから、梨花も冷たい場所に落ちるべきだ。