まつりに憑かれて一日目の朝を迎えた。
とくに体に変化はなく、肩などが重いという感覚もない。
それどころかまつりは慣れ親しんだ関係のように接してくるから、私たちの距離はすぐに近くなった。
「なんか学校って口を開けた怪物みたいじゃない? みんなぞろぞろと食べられてるみたい」
昇降口に入っていく生徒たちのことを、まつりはそんな風に例えた。
返事をしようにも、彼女は他の人には見えないので、私もそのまま怪物の口の中に入る。
開閉式の靴箱を開けると、自分の上履きがなくなっていた。
私は取り乱すことはせずに、室内用の運動靴をカバンから出して履いた。
「あ、バイ菌が来たよ」
教室に入ると梨花がすぐさまバカにしたことを言ってきた。自分の机を見ると、花瓶に入れられた菊の花が飾られていた。
私の反応を見たいがために、梨花は薄ら笑いを浮かべている。
クラスメイトたちは合わせるように笑い、彩芽と宮本は教壇の前でスマホを見せあっている。
それは、いつもどおりの教室の風景。
でも、ひとつだけ違うことがある。
それは、傷つけられる側から傷つけるほうへ手助けしてくれる最大の味方が憑いているということだ。



