幽霊高校生のまつりちゃん



私は深く息をはいた。

視線の先で横断歩道の青信号がチカチカと点滅している。


「一、二、三」


唇が点滅に合わせて動いていた。

そしてついに四回目の瞬間、私は目をつむって、強く強く呼び掛けた。


〝きみに会いたい〟


すると、交差点に生暖かい風が吹いた。

髪の毛が自然とさらわれていく中で、耳元からささやくような声がした。


「ねえ、ここで不運にも死んでしまった女の子の話を知ってる?」

ゾワッと全身に鳥肌が立って、私は体を仰け反らせた。


「ただの不運ならよかったのに、そうじゃないからその子は交差点にとどまり続ける幽霊になっちゃったんだって」

まるで内緒話をするように話しかけてきたのは、セーラー服を着た女の子だった。


黒髪と赤いスカーフが風で揺れていて、右目の下のほうにある小さなほくろを彼女は細い指先で触っていた。


「人を恨むって怖いよね。でも人に恨まれるのも怖いよねー。もしもどちらかを選ばなきゃいけないとしたら、恨むほうと恨まれるほう、どっちがいいと思う?」

「……選ばなくても、恨んでる人ならいる」

「えーすごい! (ねた)(そね)(ひが)みが育たないと、恨みにはならないんだよ?」

私は明るい表情の女の子をじっと見つめた。