「ぷっ、はは。犬と友達って!」
静かな教室に、梨花の笑い声が響いた。
「じゃあ、私にお礼してよ。お友達の最後の遺品をわざわざ外してきてあげたんだからさ」
梨花の視線がシロの首輪へと向いた。
「どのみちあんな場所で飼えるわけないんだから、遅かれ早かれ死ぬことになってたでしょ?」
「……返し、て……」
「なに? 全然聞こえない」
「シロを返してよっ!!」
掴んでいる手に力を入れると、梨花はうっとうしそうな顔をして、私の体ごと払い退けた。
「そんなに友達が恋しいなら、別のを探せば? 汚い野良犬ならそこら辺にもいるでしょ」
そう言って、梨花はあざ笑うように私のことを見下ろしていた。
何度も何度も、梨花に対して許せない気持ちはあった。
でも、なにをされても耐えてきたのは、梨花のことも大切な友達だと思っていたからだ。
いつかは変わるかもしれない。
またわかり合える時がくるかもしれない。
悲しさは生まれても、そこに憎しみは生まれなかった。
でも今は違う。
怒りも悲しさも通り越して、梨花のことを地獄に落としたい。
私が地獄を見てきたように、それ以上の苦しみを味わわせないと、この気持ちが収まらない。



