押し黙る私を見て、彩芽はしつこく尋ねてくることはなかった。
そして私がいることで保健室が使えないとわかったふたりは、別の場所を探しにいった。
再びひとりなった私は力が抜けたように、ベッドに顔を埋めた。
思い返してみても、本当にいじめに繋がることをした記憶はない。
だけど、前に体育倉庫に閉じ込められたことがあって、その時に『なんでこんなにひどいことをするの?』って聞いたことがある。
梨花の返事は、私が想像するよりもシンプルだった。
『なんでって、うざいから』
理由はたった一言だけだったのに、私は長い時間、梨花に苦しめられている。
梨花は本当にいい子だったし、友達思いの優しさも持っていた。
なのに、なにが彼女をここまで変えてしまったのか。
……自分が気づかないだけで、梨花を悲しませるようなことがあったのかな。
それが積りに積もって、私は梨花にとってうざい人になってしまった。
原因なんてなにもわからないけれど、唯一はっきりしていることがある。
それは、この理由もわからないいじめの始まりで私は、大好きだった友達に傷つけられているという現実があるということだ。
……逃げ出したい。
でも、簡単にはできない。
「……っ」
私は苦しい気持ちを誰にも言えない代わりに、声を殺してベッドの中で泣いた。



