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忙しなく行き交う車と、灰色によどむ排気ガス。

四番目の交差点のガードレールに座りながら、私は鏡の中の自分を見つめていた。


山中桜は、願いを叶えた代わりに自分の姿を失った。


「私も自分の顔って、あんまり好きじゃないなー」

だけど、顔を変えようとは思わない。


私が私でいることを止めてしまったら、会えない人がいる。

あの子や彼にもう一度会うために、私は〝この名前〟すら変える気はない。


そして今日もまた、新しい願い人の瞳に萩野まつりが映るのだった。


《第四幕 可愛くなりたい END》