「どうせ顔で選んだんでしょ? だったら私でもいいじゃん。っていうかこんなに可愛い私が目の前にいるのに、涼香涼香ってありえないんだけど」
わざと好意をむき出しにしてやってるというのに、私を選ばないなんておかしい。
「あ、そっか。翼くんは優しいから涼香と別れられないんだ。だったら私から言ってあげるよ。翼くんは私と付き合うからごめんってさ」
「俺、涼香と別れる気ないし、山中と付き合う気もないよ」
翼くんが冷静に言った。
「……な、なんで? 私のほうが可愛いでしょ?」
「俺、涼香のこと顔で選んだわけじゃないから」
「みんなそう言うんだよ。でも結局は顔なの。顔がすべてじゃん」
認めたくないのはわかる。
中身で選んだって言えば聞こえはいい。
でも翼くんの元カノだって可愛い人だったらしいし、涼香のことを顔で選んだわけじゃないなんて、今さら通用しない。
「俺さ、変わる前の山中のことけっこう好きだったよ」
「……え?」
「話しやすいし、嘘がなくて、男の中に入って豪快に笑ってる顔とかいいなって思ってた。そんな山中と仲がよかったからこそ、涼香も絶対にいい子だなって信用ができた。俺が涼香を選んだのは、山中の友達だったからだよ」
翼くんが残念そうに眉毛を下げた。
「でも今の山中は全然いいと思わない。顔も性格も誰よりもブスになったと思うよ」
そう言って、翼くんは私を置いて教室へと向かっていった。
……今、なんて言った?
あいつ、私のことをブスって言った?
ありえない。ありえない。ありえない!
私は返されたチケットをぐしゃりと握りつぶした。



