「ねえ、今手すりが壊れたらどうなるかな。こんなに錆び付いてるんだもん。偶然にネジが外れちゃっても不思議なことじゃないよね?」
私の言葉に手すりのネジがガタガタと揺れはじめた。
それに気づいた涼香の顔色がみるみる悪くなっていく。
「ここから落ちて顔がぐちゃぐちゃになったら、翼くんも周りの人も離れていくね。みーんな涼香が可愛いから一緒にいるだもん」
「……っ」
涼香は私の隙を見て逃げ出した。そして慌てたように非常階段のドアノブに手をかける。
「そうやって外見ばかりを気にしてると、いつか誰もいなくなるよ」
「はは。忠告ありがとう。早く消えて?」
涙ぐむ涼香はその場から去っていった。
その瞬間に、不自然に動いていた手すりのネジがピタリと止まる。
「願ってくれたら、あのまま涼香を落としたのに」
もちろんネジはまつりが動かしていた。
本当に涼香の顔をぐちゃぐちゃにする考えも過ったけれど、一応仲がよかった期間があるので隙が出来てしまい、逃げられてしまった。
「まあ、いいよ。今の私は涼香より可愛いから」
私は乱れた髪の毛を直すために手鏡を取り出した。



