「心配してるふりして、本当は可愛くなった私に嫉妬してるんでしょ?」
ただの可愛いは飽きられる。
最初はちやほやされていた涼香も最近は落ち着いてきて、過度に褒められることはなくなった。
翼くんファンは相変わらず多いし、来年後輩ができたらそれはもっと増えるだろう。
「私のことなんて気にしないで、涼香は自分のことを気にしたら?」
「どういう意味?」
「私ね、今度翼くんと出掛ける約束をしてるんだ」
まだ日程は決めてないけれど、チケットのお礼をしてくれるとたしかに言っていた。
そこで美味しいものを食べて、1日一緒にいれば、翼くんはきっと私のことを選ぶ。
だって私は涼香よりも可愛いから。
「もっと翼くんを繋ぎ止めるために必死で頑張ったほうがいいんじゃない? まあ、涼香が私以上に可愛くなることはないと思うけど」
私はこれからも変わり続ける。
可愛いに限界はないのだ。
「……なんでそんな風になっちゃったの? 桜は誰よりも優しかったのに……」
「は? 先に裏切ったのはあんたのほうでしょ」
ガンッと強く体を押すと、涼香は手すりにもたれかかるように仰け反った。
「抜け駆けしてひとりだけいい思いをしようとした結果、嫌がらせを受けて、私はその犯人にされた。でもね、感謝もしてる。だってそれがなかったから今の可愛い私はいないから」
性格だけ良くても誰も見向きもしない。
私は涼香を通してそれを思い知った。
「私が惨めな思いをしたぶん、次に惨めになるのは涼香だよ」
涼香の逃げ場を遮るように詰め寄った。



