学校から帰宅したあと、私はご機嫌で鏡の前に座っていた。
前は自分の顔を見るたびにガッカリしていたけれど、今は何時間でも見ていられる。
……コンコン。
すると部屋のドアがノックされた。ゆっくりと開いたドアから顔を出したのはお父さんだった。
「桜、ちょっといいか?」
「なに?」
前はリビングでくつろぐことも多かったけれど、最近はすぐに部屋に上がるようになっていた。
だってお父さんやお母さんの見た目は、大嫌いだった頃の自分とそっくりだから。
「母さんが心配してたぞ。桜が日に日に変わっていくって」
「変わることはいいことでしょ」
私はなにをしても変われなかった。
まつりの力を借りたおかげで、なにもかもがいい方向に回りはじめている。
「近頃は全然会話もしないし、部屋にも籠りがちじゃないか」
「べつにゴロゴロ寝てるわけじゃないよ。こうして鏡を見ながら美の研究をしてるの」
私はペタペタと自分の顔を触る。



