そして次の日。私はひとりで廊下を歩いていた翼くんに声をかけた。
「ねえ、翼くん。これいる?」
そう言って見せたのは大型ゲームイベントの参加チケットだった。
新作や未発表のゲームが体験できることからチケットは入手困難になっていて、ネットでは高値で取引されていることもある。
「え、ど、どうしたんだよ、これ」
チケットを見た瞬間、翼くんの目の色が変わった。
「ダメ元で応募したら当たったんだ。でも当日は急遽予定が入って行けなくなっちゃったの。それで翼くんにあげようと思って」
もちろんチケットはまつりに頼んで手に入れた。
プレミアが付いているチケットまでもがあっさりと自分のものになるんだから、まつりがいればどこかのお姫さまにでもなれるんじゃないかと本気で思う。
「嬉しいけど、マジでもらっていいの?」
「うん。翼くんに行ってもらえたら私も嬉しい!」
もうガサツな喋り方はしない。
彼に女の子として意識してもらえるように、声のトーンも仕草も全部計算してやっていた。
すると、チケットを受け取った翼くんがじっと私の顔を見ていた。



