幽霊高校生のまつりちゃん



「ねえ、桜。どうやって痩せたの?」

それから私のことを無視していた友達も久しぶりに声をかけてきた。


「えーべつになにもしてないよ?」

正直もう友達だとは思ってないけれど、下手(したて)に出て話しかけてくる姿は滑稽(こっけい)で清々しかった。


「だってめちゃくちゃ顔も小さいし足も細いじゃん!」

「うーん。しいて言うならストレッチかな。お風呂上がりにはいつもするようにしてるよ」

「えー効果抜群じゃん! やり方教えてよ」

やっぱりまつりを呼び出してよかった。


もうブスだなんて言わせないし、男おんなといじられることもない。

このクラスの誰よりも私は上の容姿を手に入れた。


案外ちょろいなと思っていると、涼香が私のことを見ていた。

友達たちの手のひら返しもムカついたけれど、私はやっぱり涼香に対して許せないという気持ちが強い。


嫌がらせの罪を擦り付けられた私の話なんて聞かずに、涼香は周りの言葉を信じた。

悲劇のヒロインぶってみんなの前で泣いたことで私は悪者になり、翼くんからも軽蔑される結果になった。


「あのふたりの仲をズタズタに引き裂いちゃえばいいのに」

誰もいなくなった放課後の教室でまつりが言った。

まつりは窓際に置かれている金魚の水槽を楽しそうに見ていた。


「そうしたいけど、簡単にやったら面白くないじゃん」

「はは。私そういう考え方大好き!」

まつりの言葉と重なるようにして涼香の声が聞こえた。


〝桜は絶対に裏表がないし、さっぱりしてる性格が話しやすくて本当に大好きなんだ〟

調子いいこと言ってたって、涼香は友情よりも翼くんを選んだ。 

だから、奪ってやる。

翼くんの隣にいるのも、周りから可愛いと認められるのも私がいい。