幽霊高校生のまつりちゃん



付き合いはじめた時はあんなに涼香は批判されていたのに、今では公認カップルとして認識されていた。

私のほうが翼くんと仲が良かったのに、彼が涼香を選んだのは顔が可愛いからだと思う。

あれでブスだった絶対に相手にされてないし、周りだって認めない。

やっぱり所詮、世の中は顔なんだ。


「みんな桜のことを見ないから気づかないね」

薄暗い女子トイレ。孤立している教室には居づらくて逃げてきてしまった。


「せっかく変わってもこれじゃ意味ないよね」

まつりが残念な声を出した。 


たしかに気づかれなかったら、なんの意味もない。私はトイレの鏡をじっと見つめる。

目だけじゃダメだ。

もっと分かりやすく可愛くならないと……。


「ねえ、まつり。この地黒を白く透明感があるようにして」

私は見本として以前カメラアプリで撮った写真を見せた。


「それから髪の毛も嫌。くせ毛から艶のあるストレートに変えてくれない?」

「いいよ。桜が可愛くなれるためならなんでも叶えてあげる」

まつりがそう言ってくれたあと、私は鏡を確認した。


そこには肌が白くなり、髪の毛もサラサラに変わった自分がいた。


私がどんな方法をしても手に入らなかったものを、まつりはやっぱり簡単に叶えてくれた。


「あれ、なんか山中いつもと雰囲気がちがくない?」

教室に戻ると、男子のひとりが私の変化に気づいた。

それを皮切りにどんどん視線は集まり、「髪型変えた?」「あんなに肌白かったっけ?」と見向きもしなかった人たちが私のことを見ている。


どうだ。これでもう男みたいだなんて言わせない。

一気に風当たりが変わると予想していたけれど、私への視線は一瞬で散った。


「まあ、山中のイメチェンとか興味ねーわ」

「そんなことより、翼くんと涼香が普段どんなデートしてるか知りたい!」


注目されることもなく、またふたりの話題になってしまった。

私はぎゅっと握り拳を作る。


もっともっと変わらないと、みんなを見返すことはできない。