幽霊高校生のまつりちゃん



「うわ、すごい!」

次の日。私は鏡の前で歓喜していた。


毎日苦戦しては諦めていた重たいまぶた。

アイテープさえも意味をなさなかった目がまつりのおかげでくっきり二重になっていた。


「私の目が大きく見えるよ!」

「うんうん。可愛くなったよ」

「本当に?」

何度も角度を変えては自分の顔を見てしまう。


整形は怖いし、そんなことをするお金もないって思ってたけど、まつりは願っただけで本当にあっさりと要望を叶えてくれた。


「あれ、桜。今日お化粧してるの?」

リビングに降りると、すぐにお母さんが変化に気づいた。


「目を二重にしたんだ。どう?」

「似合ってる。でもテープでしょ? そういうのってすぐ取れちゃうんじゃないの?」

「これは絶対に取れないから平気!」


顔を洗っても、寝ても覚めても、私は奥二重から卒業できたのだ。

嫌がらせの濡れ衣を着せられてから、ずっと学校に行くのが憂鬱だったけれど、今日の足取りは軽やかだ。


しかし学校に着いて教室に入っても誰も私のことを見ない。

最初は冷めた視線と悪口の対象にされていたけれど、騒ぐのに飽きたのか今では空気のような扱いをされていた。


「ふたりって本当にラブラブだよね!」 

涼香と翼くんを囲むようにして女子たちが(おだ)てていた。


「ラブラブっていうか喧嘩は一度もしたことがないかな。涼香はおっとりしてるから喧嘩にならないんだよ」

「違うよ。翼くんが優しいから喧嘩にならないの」

「はい。のろけ出ました!」

男子も女子もバカみたいにふたりを盛り上げている。