幽霊高校生のまつりちゃん



時間は逢魔が時。私は四番目の交差点に向かい、スマホに書かれていた方法で横断歩道の点滅を数えた。

落ち着いている心とは裏腹に、心臓だけが波打つように速い。

そして四回の点滅が光った直後に、私は目を瞑って呼びかけた。


〝きみに会いたい〟

ゆっくりと目を開けると、そこにはなんにも変化していない交差点が広がっていた。

地面の上を舞う落ち葉が、カラカラと音を出している。

まるで、学校と同じようにバカにされている気分になった。


……はあ、と肩を落としながら帰ろうとした時、私の顔の前を強い光が横切った。

それはまるで蛍のように左右に動いていて、光を辿るように視線を追うと、交差点の真ん中にひとりの女の子が立っていた。

横断歩道の信号機は赤だというのに、車は一台も通過しない。


「鏡って別の世界の入口らしいよ」

光の正体は女の子が持っていた手鏡だった。


「でも鏡を見ないと自分の顔が見れないし、困るよねー」

ペラペラと喋りはじめる女の子は横断歩道を渡ってきて、私の前で足を止めた。


糸のように細い黒髪に、赤いスカーフが目立つセーラー服。

一見どこにでもいるような女の子だったけれど、彼女が近づいてきた瞬間に、交差点の空気がひんやりしたことに気づいていた。


存在感はあるのに、地面に映る影がない。

私はまじまじと彼女のことを上から下まで見渡した。


「もしかして、あんたが萩野まつり?」

「うん。そうだよ。あなたは?」

「私は山中桜」

「桜。すごく女の子らしい名前だね!」


私が初対面の人に言われて一番嫌なセリフだ。