「俺、山中だけはそういうことをしないヤツだと思ってたよ」
翼くんの幻滅した表情を見て、心臓がバクバクした。
女子の中でも私は特別に仲良くしてくれていたのに……。
「影で嫌がらせしてるとか本当に最低だよ」
落ち込む涼香を支えるようにして、翼くんは下駄箱を通りすぎていった。
ど、どうしよう……。
ふたりとも勘違いしてるし、なにより翼くんに嫌われてしまうのが嫌だった。
私は後を追うようにして教室に向かった。
けれど、私が生ゴミを入れていたことは広まってしまっていて、涼香はずっとうつ向いて泣いていた。
「涼香、可哀想。桜と仲がよかったのに」
「こんな裏切りってひどいよね」
クラスメイトは涼香を気遣いながら、私に冷ややかな視線を送っていた。
「山中ってサバサバしてると思ってたのに、裏では陰湿なことしてたんだな」
「なんかもう、そういう目でしか見れなくなったわ」
よく話してくれていた男子までもがガッカリしている。
「ま、待ってよ。違うんだって!」
私は助けを求めるように、生ゴミを渡してきた女子たちのことを見た。けれど、視線はすぐに逸らされてしまい、代わりに涼香の肩に手を置く。
「いくら嫉妬とはいえ、下駄箱に生ゴミを置くなんてありえないよ」
女子たちは寝返ったように涼香側に付いた。
「私じゃないよ。なんでこんなこと……」
半泣きになる中で、翼くんがとどめの一言を言った。
「今までの嫌がらせも全部山中がやってたんだろ。お前って性格もブスだったんだな」
そう言われて、膝から崩れ落ちる感覚がした。



