なにが桜みたいにボーイッシュが好みの人もいるだよ。
結局、女の子らしくない私のことを下に見てただけじゃん。
考えれば考えるほど不満が湧いてくる。
嫌がらせはよくない。
それは分かっている。
でも、このゴミを下駄箱に置くぐらいは……。
私はすでに悪臭がしている下駄箱に、預けられた生ゴミをそっと置いた。
すると、背後で人の気配がして振り向く。
「山中、なにしてんだよ」
それは翼くんだった。
「え、あ……」
慌てて手を引っ込めた反動で、バラバラと涼香の下駄箱から汚いゴミが落ちてきた。
「ち、違う。私は……っ」
言い訳しようとした唇が止まった。怖い顔をしている翼くんの隣には涙ぐんでいる涼香がいた。
「桜、ひどいよ」
生ゴミだらけになっている下駄箱を見て、どうやら私がやったと涼香も勘違いしているようだった。
「私じゃないよ!」
「なに言ってんだよ。山中がゴミを置いてるの俺たちはしっかり見たから」
「だからそれは……」
どうしよう。なにを言っても信じてもらえない空気だ。
タイミングが悪すぎる。
涼香とは昨日の一件でぎくしゃくしているところだし、下駄箱に生ゴミをぶちまけたのは私じゃないけれど、二個目のゴミを置いたのは私だ。
なんて言ったら誤解が解けるのか悩んでいると、翼くんが悲しそうな顔でため息をついた。



