涼香が翼くんと付き合いはじめたことは瞬く間に学校中に知れ渡った。
どんな子だろうとわざわざ教室に見にくる人もいたり、写真を撮っている人もいる。
でも涼香は動じることはなく、自分から翼くんの席に近寄って体を触ったりしていた。
まるで彼女の特権と言わんばかりの態度を女子たちが放っておくはずもなく、昼休みに涼香は人気のない場所に呼び出された。
「翼くんはみんなのものだって忘れたの?」
クラスメイトだけじゃなく、翼くんファンの他の同級生たちも涼香のことを取り囲んでいた。
「ルールがあるのは知ってたけど、誰が決めたか分からないものを守らなきゃいけないのはおかしいと思う」
学校では大人しい涼香が堂々とした口調で言った。
きっと涼香は批判されることも不満を言われることも分かっていた。
それでもなにか行動しないと翼くんには伝わらないと、みんなの知らないところでアピールしていたのだと思う。
「ひとりだけ抜け駆けして、ただで済むと思ってんの?」
「私になにかしたいならすればいいよ。その代わり翼くんにすぐに話すから」
「は?」
「翼くんは彼女を作るとその人が嫌がらせをされるからずっと作れなかったって言ってた。もし私になにかしたら翼くんに嫌われるよ。それでもいいの?」
「……っ」
涼香は驚くほど強気だった。
翼くんの彼女になれた自信と覚悟がそうさせていたのかもしれない。



