幽霊高校生のまつりちゃん



……手作りクッキーって、もしかして私も食べたやつ?

涼香は試作で作ったと言っていたので、最初から翼くんにあげるつもりだったのかもしれない。


「あ、桜おはよう!」

私に気づいた涼香が翼くんから離れて駆け寄ってきた。


どうしよう。顔が見れない。

翼くんへの好意を隠してきたとはいえ、今は動揺が全面に出てしまっている。


「ごめんね。黙ってて。桜には事前に言おうと思ってたんだけど……」

桜が口を開くだけで、女子の視線が鋭くなる。それが凶器みたいに怖かったので、私は涼香の手を引いて廊下に出た。


「翼くんに告白したって本当なの?」

「うん。昨日」

「どうやって?」

「話があるから公園に来てほしいって、私から呼び出しちゃった」

内気に見えていた涼香にそんな勇気があったなんて知らなかったし、連絡先を交換していたことも私は聞いていなかった。


「クッキーもあげたって……」

「うん。翼くんはバター入りのシンプルなものが好きだって言ってたから、なんとか自信作を作ろうって張り切りすぎて、試作品ばかりが増えちゃった。でも桜が食べてくれたからよかったよ」


……なにそれ。

じゃあ、私は翼くんにあげるための練習クッキーを美味しいって食べてたってこと?

みんなが見てるところでは積極的に話しかけたりもしなかったのに、裏でこんなアピールしていたなんて……。


「本当に彼女になれて夢みたいだよ」

涼香は嬉しそうに笑っていた。