幽霊高校生のまつりちゃん




それから数日が経って、今日も二重にしようと頑張ってみたけれど、プッシャーで上げたまぶたはすぐに元の位置に戻ってきた。

なにが強力な接着タイプのノリだよ。塗れば一日キープなんて嘘じゃん。一秒ももたなかったよ。

ぶつぶつと商品に文句をつけながら、とりあえず髪の毛だけはアイロンでまっすぐにした。

けれど時間をかけた髪の毛も湿気という天敵のせいで、学校に着く頃にはいつもの無造作ヘアに戻っていた。


……これじゃ、男の子に間違われても仕方ない。

可愛い女の子になるためにはどうしたらいいんだろう。色々とやってみても空回りばかりしてる気がする。


――ガラッ。

ため息をつきながら教室のドアを開けると、なぜか空気がピリッとしていた。

おはようと挨拶できる雰囲気でもなく、不満そうに見つめている女子の視線の先には涼香がいる。

どういうわけかその隣には翼くんもいて、ふたりは仲が良さそうに喋っていた。


「な、なにがあったの?」

私は一番近くにいた友達に聞いてみた。


「涼香が抜け駆けしたんだよ」

「え?」

「翼くんに告白してオッケーもらって彼女になったって」


……う、嘘。

たしかにふたりの距離感はただのクラスメイトという感じではない。

翼くんといつも一緒にいる友達たちも「翼に彼女ができたぞー!」とバカみたいに盛り上がっていた。


「ちょっと男子マジでうるさいから!」

「翼ファンがキレてまーす」

「は?」

殺気立っている女子たちは本当に怖いくらいピリピリしていた。


涼香が翼くんの彼女になった?

教室でもあまり話しているところを見たことがないし、家に遊びに行った時もそんな素振りは一切なかったのに……。


「なんか涼香さ、知らないあいだに連絡先交換して、この前もわざわざ手作りクッキーを焼いてあげたりしてたみたいだよ」

女子が腕組みをしながら呆れた声を出していた。