「桜、いらっしゃい」
着いたのは涼香の家だった。
やることがなくて暇だと連絡をしたら『じゃあ、うちにおいでよ』と誘ってくれたのだ。
「散らかってるけど入って。今飲み物持ってくるね」
私を部屋に招いてくれたあと、涼香はリビングへと向かった。
散らかっていると言っていたけれど、涼香の部屋はとても綺麗で、ピンク色を基調としている女の子らしい部屋だった。
「あ……」
私は腰を下ろす前にあるものを見つけた。
それは窓際に飾られている翼くんと涼香のツーショット写真だった。
これは体育祭の時にみんなで翼くんの元に行って、ひとりずつ撮ってもらったものだ。
本当は私も一緒に撮ってほしかったけれど、キャラ的に言える雰囲気じゃなくて、結局みんなからスマホを預けられて撮る側に回っていた。
……いいな。やっぱり私も撮ってもらえばよかったな。
そんな後悔をしていると、涼香が部屋に戻ってきた。
「お待たせ。冷たい紅茶しかなかったんだけど大丈夫?」
「うん。ありがとう」
白いテーブルに向かい合わせで座ると、涼香は紅茶と一緒にクッキーを持ってきてくれた。
「よかったら食べて」
「いいの?涼香の手作り?」
「うん。でも試作として作ったものだから、ちょっと形がいびつで欠けてるのもあるけど……」
「でも味は美味しいよ!」
私は遠慮なく次々とクッキーを食べた。



