そして週末。私はリビングのソファに座って、自撮りをしていた。
加工もできるカメラアプリは普通に撮るだけで二倍は可愛くなる。
地黒の私が白く見えるだけではなく、アイメイクやリップも勝手に上乗せしてくれた。
「こわ、詐欺じゃん。これ」
写真があまりに実物と差がありすぎて、独り言を言ってしまった。
「なにしてるんだ?」
と、そこへ仕事が休みのお父さんが同じソファに腰かけてきた。
「ちょ、近いんだけど」
「いいじゃないか、別に」
多分うちの家族は普通の家より仲がいい。
小学校高学年までお父さんと一緒にお風呂に入ってたくらいだし、今でも胸はまな板なのでタオル一枚とかでも全然歩けてしまう。
「ねえ、お父さんとお母さんって大学のサークルで知り合ったんだっけ」
「うん。父さんも母さんもテニスは強かったんだぞ。大会にも出たりしてな」
「その話は100回聞いてるよ」
両親は今でも体を動かすのが好きなので、ジョギングをしたり、最近では地域のソフトボールチームに入ることを検討してるらしい。
つまり私の筋力や骨格がしっかりとしているのは、両親からの遺伝子というわけだ。
「はあ、もっと大きい目ならよかったのに」
私は先ほど撮った写真を見た。
カメラアプリではぱっちりしていた目も、実際は残念なほどの奥二重。
もう少し皮膚が薄かったらアイテープでなんとかなるっていうのに、なんでこんなに分厚いんだろうか。
「桜の目は可愛いよ。シュッとしてて」
「シュッじゃなくてクリッとしたいんだよ!」
「はは。桜も年頃だな」
もう、笑い事じゃないよ。
お父さんと話しているうちに出掛ける時間になり、私は家を出た。



