幽霊高校生のまつりちゃん




「ああ、翼くんってなんであんなにカッコいいのかな」

空を仰ぎながら想いを()せるように、みんな彼に恋をしている。


現在、翼くんに彼女はいない。

特別に親しくしている人もいない。


話しかければ気さくに答えてくれるし、自分に好意がある人を遠ざけたりはしないので、彼のファンは日に日に増えていく。

そんな中でいつしか女子のあいだでこんな暗黙のルールができていた。


〝翼くんはみんなのもの〟

恋をしてもいいけれど、抜け駆けすることは禁止。

過度に接触しようとしたり、ふたりきりになることは裏切りだと女子の中で決められているらしい。


「誰とメールしてるの?」

女子たちが翼くんトークで盛り上がっている隣で、涼香はずっとスマホを触っていた。


「友達だよ」

「へえ、男?」

「もう、見ないでよ!」

わざと画面を覗くふりをすると、バシッと肩を叩かれてしまった。


中学まではわりと部活の話題のほうが多かったのに、高校生になるとほとんどが好きな人や彼氏の話ばかりになった。


好きな人のために可愛くなりたい。

彼氏の好みに合わせたい。

そんなの自分には関係ないと思っていたのに、最近は自分の容姿を少し気にしている。


性格も含めて男っぽいけれど、別に男になりたいわけじゃない。

だから密かに女の子らしくなろうと努力していたりするけれど……。

今朝の男子みたいに「女に目覚めたぞ」なんてからかわれるのも嫌だった。